動物園の飼育係になったような気がする

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歯形のついたリンゴ

夜中、トイレに行ったらおしっこ臭い。「またどっちかが粗相したな」と便器まわりを見ると、確かにその痕跡が。しょうがないので深夜の床掃除。

母ならば完璧ではないにせよ自分で後始末する気はあるので、ほったらかしにしておくことはない。片付けようとした気配もなく放ってあるのは、これは父。

そして、朝。朝ごはんの支度のために冷蔵庫を開けたら、かじりかけのリンゴが。

父母に聞くと、どちらも自分じゃないと言う。

母の可能性もなくはないけれど、かじりかけのものを平然と戻しておくという仕業は、これまた父親の可能性が高い。食い意地の張りっぷりからいっても、父親の疑いが濃厚。

多分、昨晩、父がトイレのついでに家の中を徘徊したのでしょう。母も以前「夜中にお父さんが家の中を歩き回っていた」と言っていたし。

いやしかし、歯形のついたリンゴを見たときの衝撃は、野生動物に食い荒らされた作物を見た感覚に近いものがあります。しかも、当の本人に記憶がないというおまけ付き。

夜中の幻覚

そういえば、少し前、夜中に部屋の外で人の気配がするのでドアを開けたら、父親がボーっと立っていたことがありました。どうしたのか聞くと、「トイレに人がいて使えない」と言う。

また幻覚かと、一緒にトイレまで行って中を改めると、当然ながら誰もいない。

「誰もいないよ」

「いや、さっき3人ぐらい入っていた」

「とにかく今はいないから、使いなよ」

「よかった。ちびるところだった」とトイレに入る父。

げっ。放っておいたら、とんでもないところで放尿したかもしれない。たまたま目が覚めてよかった。

まるで動物園

しかし、トイレの粗相を片付けた翌朝にかじりかけのリンゴを発見したりすると、言っちゃなんだが、動物園の飼育係になったような気がする。

特に父親は食べこぼしやらなんやら、家じゅうのあらゆるところを汚すので、その後始末をしていると余計に飼育員感が増す。母と二人だとこんなに汚れないんだけど。

そういう意味でも、父がいないときは家の中も清々しかったな~。そして父はボケはじめてから顕著に食い意地が張ってきました。

ボケ老人が意地汚くなるのはよく聞きますが、父のように食い意地と吝嗇が重なると、さらに醜悪だなあと。猫かわいがりした息子に裏切られているところまで含めて、老醜。

やっぱり父のことは少し突き放して見てしまいますね。そう考えると、よく面倒見てやってるわ、私。

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