「江戸の町は骨だらけ」鈴木理生

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社畜の目前にニンジンをぶら下げる

先日、久しぶりに社畜電車に乗ったときに目に付いたもの。それは、不動産投資の広告。ドアのガラス部分に貼ってある小型のシール状の広告ありますでしょ。ちょうど目線の位置にくるやつ。

あのタイプの広告で、どう見てもうさんくさい著者の顔写真が載った書籍と、あとアパート経営だったかなんだったか、とにかく不動産投資を促す広告、2種類も目にしてしまった。

ギュウギュウに電車に詰め込まれ、通勤に嫌気が差している社畜の目前に不労所得というニンジンをぶら下げる。実にエグいマーケティングだと思いました。

とはいえ最近はカモも減ってきたのか、書籍の広告にはなんだかチェックリストが載っている。中に「自分は騙されやすい人間だ」だかなんだったかそんな項目があって、カモ猟も手が込んできたな~と乾いた笑いが洩れました。

今、東京の不動産価格はちょっとしたバブルなんですってね。貧乏人には縁のない話なのでとんと詳しくないですが、近所の古い住宅が取り壊されて更地になっていくのを見るにつけ、値段が上がった今がチャンスと売りに出しているのかなーと思ったり。持ち主も高齢化してるしね。

久しぶりに散歩に出たら、近所で1軒、ちょっと離れた住宅街ではお隣同士が更地になっていて、しかもそのうち1軒はすでに新しい家が建設中とな。

腐っても都下、すぐに買手がつくのがさすがに地方とは違うなと思いました。

オカルト系学術本

図書館で借りて読んだので手元になくてうろ覚えですが、かなり面白かった「江戸の町は骨だらけ」という本。

著者の鈴木氏は東京都の職員として教育委員会方面に勤めていた人で、埋蔵物とか出土品とかに立ち会う機会が多かった人だと記憶しています。

内容はタイトルどおりです。史実と資料に裏打ちされた硬めの切り口ですが、独自の視点が新鮮で、オカルト好きにはかなり興味深いものでした。荒俣宏の「帝都物語」が好きな人にはお薦めします。

で、本編では続編があるような書きぶりだったので、続編が出たら絶対読もうと思っていたのですが、あとがきで鈴木氏みずから「続編は書かない」と宣言されていました。

単行本から文庫にする際に書かれたあとがきだと思いますが、要約すると「この本を書いてから事故に遭いそうになったり、いろいろ(霊的な)怖い目にあった。書いてはいけないことだったのかもしれないので、もう書かない」と、そんな感じのことでした。

続編が読めないことにがっかりするのと同時に、見えない世界のタブーというか、禁忌というものは依然として存在しているのだなと。

鈴木氏はごく真面目に研究者として著したわけですが、それでも警告を喰らったと。

一つには、鈴木氏が霊的感受性を備えた人だったからかもしれません。だからこそ新しい視点で書けたし、警告にも気が付いた。

都市伝説系YouTuberとかで呪物やいわくつきのモノを集めている人たちがいます。たまに原因不明の体調不良や、怪異な現象はあるみたいですが、まずまず支障なく暮らしているようです。

ああいう人たちは跳ね返す力が強いのか、警告に気が付かない鈍感さを備えているのか、不思議です。

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