東京新聞杯(GⅢ)を制したスゴ腕女性ジョッキー

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華麗に馬群を割ってくる手綱さばきにほれぼれ

「女の細腕」どころの話ではないのです。道中は馬としっかり折り合いつつ、最後の直線では華麗な手綱さばきでスルスル馬群を割って出て、ゴールまで気を抜かせず走らせる剛腕ぶり。

本日の東京競馬場11R「東京新聞杯(GⅢ)」、レイチェル・キング女史の手綱さばきは見事でした。性差による斤量ハンデもなく、良血馬でもないのに、異国の地で男性ジョッキーと互角に戦って勝つのだから本物。先々週にもGⅡレースを勝っているし。

残念ながら今のJRAジョッキーで、少々力不足の馬で馬群を割って勝たせるなんていう芸当は、ほぼ見ることはない。(逆に馬群の後ろで右往左往しているヘッポコ騎乗に業を煮やして、馬が自分で「フンっ」と馬群を割って出たのは見たことがある。賢いお馬さんやで、ほんまに)

短期免許で来日した剛腕女性ジョッキーといえば、ニュージーランドのリサ・オールプレス女史もスゴ腕。二けた着順が続いていた馬をいきなり馬券内に持ってきたママさんジョッキーです。親しみと敬意をこめて「リサおばちゃん」と呼ばせていただきます。

初の女性ジョッキーとしての苦労が生んだもの

日本の女性ジョッキーに目を向けると、JRA初の女性ジョッキーとしてまず名前が挙がるのが細江純子さん。フジテレビの「みんなのKEIBA」に出演しているので競馬ファンにはおなじみです。パドック診断が冴えています。

そして細江さんといえば、知る人ぞ知る下ネタコラムでも冴えわたる文才を発揮しています。

細江さんの下ネタコラムはとあるブログで知りました。ブログ主は『アサヒ芸能』で連載している細江さんのコラムを紹介しているのですが、そのあまりの下品さに驚き呆れつつ、細江さんの文才は認めてしまうという落差が面白くて、思わず全記事を読んでしまった。

細江さんの『アサ芸』コラムは9割が下ネタ・予想は1割という、もはや競馬はオマケぐらいの勢いですが、文章が上手くて面白い。

それに細江さんが下ネタクイーンになってしまったのは、セクハラなどという言葉すらなかった時代、超絶男社会で閉鎖的な競馬界を生き抜くための処世術だったと思うのです。

細江さん自身も言っていましたが、騎手時代、それはもう毎日下ネタの嵐で苦労したそう。そこに順応するために、いつしか細江さんも下ネタをポンポン言い返せるようになってしまったのだとか。

うら若き乙女がセクハラを耐え抜いた副産物が下ネタコラムだとすると、なかなか笑えないものがあります。

雨後のタケノコのように数だけは多いが……

細江さんの時代とは打って変わって、ここ数年は毎年のように女性ジョッキーがデビューしています。だけどねぇ、数だけ増やしてもねぇ。

細江さん以来の女性ジョッキーとして藤田菜七子ちゃんがデビューしたときには、地道に筋トレに励んでいたし、尊敬するジョッキーとしてリサおばちゃんの名前を挙げていたし、「見どころあるわい」と期待したものです。

が、落馬負傷してからどうも低迷している。落馬すると恐怖心を克服するのが大変だというしな。菜七子ちゃんも下ネタの嵐に心折れていないだろうか。細江さんの時代よりは、だいぶんマシになっていると思うのだけれども。

親子、兄弟、ファミリー総出やで

何より、日本人ジョッキー自体のレベルを上げないと、女性ジョッキーが育つどころの話ではないかも~。まず、コネ&七光りが多すぎ。親子ジョッキーが同一レースに出るのは日常茶飯事。

今日の東京新聞杯なんて、横山家(父・長男・次男)と岩田家(父・長男)、2家族出てましたからね。さらに調教師の長男・次男が同一レースに出るというパターンもありありのアリ。

こういう馴れ合い感あふれる競馬界なので、最近は短期免許の外国人ジョッキーが来ているときしか馬券買わなくなってしまった。短期免許で来る外国人ジョッキーは上位ジョッキーが多いとはいえ、やっぱり上手いわ。それに「勝たせるためにはどう乗るか」という戦略をもって乗っているのがわかる。

かたや日本人ジョッキーは……。「その馬の脚質で、このレースのペースで、どうやって勝とうと思った?」と小1時間問い詰めたくなる騎乗が多い。馬の力を出し切って負けたのならまだしも、明らかに足を余して負けているのは、もうこれは騎手の腕。

馬はその一勝で繁殖に残れるか、処分されてしまうか命にかかわってくるんだから、もうちょっと真剣に乗ってやって。

JRAジョッキーの報酬は、世界的に見ても破格でいいらしい。要は負けても報酬面では十分恵まれているから、緊張感もなければ向上心もなくなると。

まあギャンブルなんてやらないに越したことはないので、競馬への興味がどんどん薄らいでいくのは個人的にはいいことかもしれない。もともと小銭しか賭けてないけどな。

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