フィギュアスケートTV観戦記(7)~世界選手権男子FP

目次

開き直りが引き寄せた表彰台

シーズン最後を飾る世界選手権が終わりました。何がびっくりしたって、フランスのアダム・シャオ・イムファの禁じ手バックフリップ。ショート19位からまさかの巻き返しで3位に滑り込んだ。

フリーの演技が始まるやいなや、今日はキレッキレだなと思っていたら、画面に「ショート19位」の文字が。ああそうか、SPで下手こいたのでメダルは無理と開き直って滑ってるんだなと納得。いやしかし、ジャンプが決まる決まる。あんた、いつもこの調子でやりーや。

ポテンシャルはある選手だと思っていましたが、本番でミスることが多かった。精神的に吹っ切れると、こうもジャンプの成功率が高まるものかと、いかにメンタルに左右される競技かというのを再認識。

なぜフランスの選手はバックフリップを跳びたがるのか

いやしかし、いきなりの禁じ手・バックフリップは往年のスルヤ・ボナリーを思い出させました。彼女も物議を醸していたなぁ。なんでフランスの選手は宙返りしたがるのか。

案の定、解説の本田氏が「禁止されている技です」と渋~いコメント。減点2点をくらっても跳びたかったんか。会場は盛り上がったけど、リンクは傷むよな。まあ今シーズン最後の試合、SPの出来栄えが悔しくて爪痕を残したかった気持ちはわからんでもない。

そしてマリニン

今や飛ぶ鳥を落とす勢いのイリヤ・マリニン。少年から青年の体格になって、骨格ががっちりしてきた。グランプリファイナルの4回転アクセルは少々回転が怪しい感じもしたけれども、今日はまずまずクリーン。それにしても相変わらずジャンプとステップの落差よ……。見るたびに衝撃。

宇野君、モチベーションが保てるか

そして宇野君、今日はジャンプがふるわず、残念ながら表彰台を逃しました。あまりガツガツした闘争心を見せる選手ではないですが、ランビエールコーチについてからは「ステファンの喜ぶ顔が見たい」、鍵山君と中京大のリンクで一緒に練習し始めてからは「負けられないと思った」と、モチベーションにブースターがかかったようでした。

けれど、今日の演技を終えた宇野君の表情を見ると、引退も視野に入ってきているのかなと思わずにはいられなかった。

今大会は万全の出来ではなかったとはいえ、あいかわらずほかの選手より時間が短く感じたし、技術と芸術性を兼ね備えた選手は貴重なんだけどな。

26歳という年齢、スケート連盟はどうやら鍵山君推しで、そういう空気も察してやめてしまうかもしれない。いつかは来る日だけれども、その時を考えると残念なり。

目次