宇野君引退後は、さらにフィギュア観戦に熱が入らなくなって今シーズンもあんまり追っかけてませんが、時間があったので全日本選手権を見てみました。
全日本選手権というのは、全国の各ブロックからのガチンコ勝ち抜き戦で、選手は皆、独特の緊張感のある大会だと口を揃えます。
観客席からの掛け声も体育会系のクラブ活動味があって、ちょっとほかの大会とは違う雰囲気なのが画面越しにも伝わってきます。
引退してなかったっけ?
そんな特別な大会ですが、男子最終グループに、おっとびっくり織田信成(37)。おっさん、何しとんねん。引退してなかったっけ?
織田君といえば、バイクの飲酒運転に始まり、演技中のスケート靴の紐切れ騒動、濱田コーチと裁判で争ってみたり、常にお騒がせ男という印象。
そして、今になって全日本選手権に出場って……。4回転-3回転のコンビネーションジャンプを成功させたのはすごいけど、彼は一体どこに向かっているのか。
そして、蓋を開けてみれば、なんと4位。織田君に負けた中堅どころ(友野一希、山本草太、佐藤駿、三浦佳生)、ちょっと不甲斐ない。
オリンピックイヤーを控え、背負っているプレッシャーは出戻りの織田君とは段違いとはいえ、あまりにも情けない。
肝の据わったジュニア
そんな織田君、ショートプログラムでは「マツケンサンバ」で大いに会場を盛り上げました。次に登場したのが、ジュニアの中田璃士(16)。
この盛り上がりの余韻に気圧されなければいいがと思っていたら、いたってマイペースで滑りきってしまった。弱冠16歳にしてその肝の据わりっぷりにまず感心しました。
フリーも会心の滑りで、なんと2位に。メンタルにも大きく左右される競技ですから、この強心臓ぶりは頼もしい。
シニアで戦うようになれば背負うものがどんどん大きくなっていくでしょうが、この度胸を保ち続けられれば大きな武器になるはず。
スキッドは回転不足ではないのか?
去年も、最近のトリプルアクセルの進入角度が斜めなのが気になると書いたのですが、今大会でもやっぱり気になる。
今回の地上波フジTVの放送では、CM前に過去の選手のハイライトが差し込まれたのですが、浅田真央ちゃんの16歳時のトリプルアクセル映像を見ると、今の選手のトリプルアクセルとの違いが歴然。
浅田真央ちゃんはまっすぐ前を向いて踏み切っている。これでも後年、回転不足をとられまくったんですからねぇ。
伊藤みどりさんとなると、真正面踏み切りに加えて高さも異次元。これじゃあ、みどりさんが「私たちのころのトリプルアクセルと違う」と言うはずだわさ。
最近よく見る斜めの進入角度、「スキッド」というらしいです。これって、回転不足にならんの?
最下位に対する二者二様
12位の青木祐奈(22)が試合後に突然の引退表明。骨折によるブランクを経て復帰、大学卒業後はアルバイトをしながら競技を続けてきたそうです。えらいね。
先日のNHK杯では3位と、遅咲きの花が開花しそうでしたが、何が彼女の心を折ったのか。電撃引退といえば町田樹君を思い出します。
今日の放送の紹介映像の中で「(2021年の)全日本選手権で最下位になったときは恥ずかしくてみんなの前から消えてしまいたいと思った」というコメントが紹介されていました。
このコメントを聞いて思い出した選手がもう一人。去年の全日本選手権で最下位だったというのに、華々しく引退会見を開いてしまったあの人。そう、本田真凜ちゃん。
ジュニア時代に世界大会で金メダルをとっているものの、シニアに上がってからはメダルなし。オリンピック出場経験なし。とどめが全日本選手権最下位。これで引退会見を開いたのにはびっくらこきました。いや、開くのは自由だけど。
そこそこ報道陣も集まったようなので、そこは「タレント・本田真凜」のネームバリューでしょう。ただ、「スケーター・本田真凜」の引退を報じようにも戦績は前述のとおりなので、なんだか尻すぼみな報道だった記憶。
青木さんのコメントこそ、真剣にスケートに向き合ってきた人のコメントだよなと改めて思った次第。真凜ちゃん、あなた現役時代から気分はタレントだったのね。知ってたけど。